No.049 ウシに見習う

動物エピソード干支にちなんだ話ペットコラム

新年明けましておめでとうございます。2009年もみなさまのご多幸を祈念しております。

『ウシの歩みも千里』ということわざがある。ウシはのっそりのっそりと歩くが、休みなく歩き続ければ千里(約4,000km)でも歩けると例えた。私たちの生活に言い換えれば一歩一歩少しずつ努力を積み重ねれば、やがて大きな目標に達することができると、教えたのだ。

そこで実際のウシの歩く速度について紹介しよう。

代表的な乳牛 ホルスタイン種 写真家 大高成元氏撮影

このことわざができた頃は、おそらくのんびりと草を食べて過ごす家畜のウシをみて、描写したのだろう。牧場で放牧しているウシは、1日に3時間から6時間程度歩くという報告があり、歩数に換算すると、3,000歩から18,000歩となる。ウシの歩幅は1.2mくらいなので、1日に4kmから22kmと歩く計算だ。そこで、千里(約4,000km)を歩くのに、どのくらいの日数が必要か計算すれば、1日に10kmならば400日、5kmならば800日なので1〜2年と言えよう。

このように考えれば、どんなことでも年単位で努力するのが理想的のようだ。今年の目標を定め、牛の歩みのように地道に一努力してみませんか。

さて、約1万年前に家畜化されたウシは、目的によってさまざまに改良を重ね、今ではその品種数は800に達する。国内で有名な乳牛はホルスタインだろう。原産地はオランダで、肩の高さが140〜160cm、体重650〜1,100kgになる大型の種類だ。年間の乳量は6000〜8000kgだが、最高記録では約28000kgというまさに驚異的な個体もいる。一方、ステーキやすき焼で人気の高い黒毛和種は日本の代表的な肉用種で、体重550〜900kgだ。

かつて日本人は肉食より魚や野菜を好んでおり、明治時代までウシは農業や牛車などのいわゆる使役動物として使っていた。牛肉として人気が出たのは1950年(昭和25年)頃からで、以来国民全体の肉食の需要が増え続け、とりわけ黒毛和牛の人気は高く現在に至る。家畜としてのウシは、肉や乳、皮、角とすべてを利用し、ほとんど捨てるところがない。私たちはウシをはじめ多くの飼育動物に感謝して生活しよう。

そうそう、家畜の牛はのっそりだが、ウシの仲間で水牛やバイソンの走る速度は時速55kmくらいという。人間の100mの世界記録を10秒とすると、時速にすれば36kmとなる。オリンピックの選手でもこんな程度なので、いかに野生動物が早いかお判りと思う。

今年は次回から、おもしろ動物大百科と題して、哺乳類のカモノハシから順次代表的な種類を紹介していきたいと考えている。

本年もへーベルハウスと共に、ゾウぞよろしくお願いします。

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