No.034 テングザルのおなか

動物エピソードペットコラム

大相撲ファンはまだまだ多いが、大きくせり出たお腹はビールで蓄積したお腹と違いぶよぶよとしていないそうだ。一度蓄積したお腹の脂肪は食事制限をするか、運動をしない限り容易には落とせない。ジムに行き適当に汗をかき、冷えたビールをグィと飲むときの心地よさ、ビールではなく水をグィっとどうかって、そんな殺生な!

テングザルはこんなサル。お腹が大きいでしょう。写真家 大高成元氏撮影

肉食獣のお腹がたっぷりと膨らんでいるのは、獲物にありついて腹いっぱい食べたときで、ふだんはスマートなものだ。肥満体のチーターやライオンがお腹をゆすりながらノソノソとシマウマを追いかけても捕らえることはできない。もっとも、餌を捕まえる必要のない動物園で飼育されている肉食獣は丸まると太り飼育係を困惑させている。
一方、草食動物は肉食動物にくらべると、栄養価の低い草を食べるので、大量の食物を食べるか、あるいはナマケモノのように、できるだけ動かず省エネで生活しているものもいる。

人間が改良した家畜のウシは、よく消化の仕組みも調査されている。草食獣と一口に言っても、消化という点から見れば、胃が複数あって、一度胃の中に入れた食物を口に戻しゆっくり咀嚼する反すう動物と、人間と同様に単胃の動物がいる。どちらも草を消化する消化酵素を持っていないから、そのままだといくら食べても栄養にはならない。そこで登場するのが、腸内細菌である。この腸内細菌は1cm3に億単位がすみ、その中にセルローズを分解できるものがいる。これらは口から入ってきた草を消化する酵素を持っており、彼らの力を借りて栄養を取り込み、最終的にはこの腸内細菌もたんぱく質として取り込んでしまう。またウシは一日100リットルものよだれをだすが、よだれも水分補給や、中から尿素を取り込み、たんぱく質を作る上で重要な働きをしている。

さて、表題のテングザルだが、テングザルの特徴はその鼻が天狗のように立派なだけではなく、じつはもう一つ大きな特徴、大きなお腹を抱えていることだ。はじめは妊娠しているのかと疑うくらい大きく、何のためにあのように大きいのか不明であった。しかし、死んだ個体を解剖し、内臓を検証したり、生態調査を進めたりするうちに、餌となる植物の消化方法と関連していることが分かった。セルローズを分解するために複雑で大きめな胃を持っており、ここでゆっくりと腸内細菌に消化させ、そのエネルギーをとっていたのだ。

お酒を止めるか、運動をするか、食事制限をするか、ウーンいつも一杯やりながら考えているからダメなのか。
まあ、今日は飲んじゃったから又明日この件については考えよう。

タイトルとURLをコピーしました