No.028 乳の話 その1 乳頭の数

動物エピソードペットコラム

恐竜って魅力がありませんか?
専門がゾウなので大きな動物に惹かれるのか、それとも年を重ねるにつれてルーツに想いを馳せるのか分かりませんが、孫と一緒になって恐竜図鑑を眺めて楽しんでいる。しかし、子どもの質問は、なんで、どうしてなの、とテープレコーダーのようにエンドレスで尋ねられ返事に窮することがある。本当に参るなー。

さて、今回はそろそろ手の話から離れて胸の話をしよう。哺乳類には乳頭があり、動物の種類によって、乳頭の数や乳頭のある部位は異なる。
一番多く乳頭を持っている動物は、アカハラジネズミオッポサムで25個もあるから驚きだ。私たちの乳頭が左右対称に1対あるからといって動物が全てそうではない。有袋類は主にオーストラリアに生息するが、オッポサムの中には13個の乳頭があり、乳頭の位置がお腹の真ん中にある動物もいる。

10個も20個も乳頭があれば、腹部一面にわたり分布していると思うだろうが、よく見ると一定の基準があり、多くは正中から外れた脇にある。あまり多くの動物をあげると煩雑になるので、代表的な動物をいくつかあげよう。

ウシはご存知のように、腹部に4個の乳頭があるが、類人猿やニホンザル、ゾウなどは胸部に1対ある。ゾウは前肢の脇に1対あるが、ふつうは乳頭がぽつんとあるだけで、乳房が膨らんでくるのは妊娠後期である。子ゾウは脇の下に頭を入れて外側に出た乳頭から直接口で吸う。成獣のゾウの水の飲み方は、鼻で水を吸い上げ、吸い込んだ水を口に流し込んで飲むので鼻はコップ代わりとなる。口から直接飲むのは母親のお乳だけだ。

ブタの授乳 – 母親がゴロンと横になり、2列に並んだお乳を子ブタに授乳する。

ブタやイヌの乳頭は胸から足の付け根にかけて並んでいるが、これは授乳するときに母親が横になっての飲ませるときに好都合となる。お腹のどこに乳頭があるかと言う問題は、個々の動物の生態と体のつくりにより異なる。ゾウの場合腹部から地面までは約90cmなので、腹部に乳頭があった場合、体のつくりが変わっていただろう。さらに、野生で生活している動物は、外敵も多く、のんびり無防備な状態で横になり授乳していたら、たちまち肉食獣に見つかり餌食となってしまう。

ブタの乳頭は7〜9対ある。それぞれ左右の乳頭をくわえて一斉にお乳をのむ子ブタ。友人の写真家 大高成元氏撮影

クジラも哺乳類ならば、お乳を飲むのですか、と質問されたことがある。クジラと一口に言っても、シロナガスクジラやシャチ、イルカなど種類は多いが、哺乳類なのでやはりお乳を飲む。今は退化して後ろ足はないがそのあたりに肛門と生殖孔があり、その両側に1対の乳頭がある。この乳頭はふだん乳溝とよばれる細長い溝に納められていて、授乳する時に乳首がとびだして赤ちゃんが飲みやすいようになっている。

なに、なに、恐竜にもおっぱいはあるかって。うーん、残念ながらないね。恐竜は陸上で生活していた爬虫類だから、卵を産んでかえしていた。鳥だっておっぱいを飲ませないだろう。同じことだ。なにせ鳥の祖先は恐竜だからね。
ちょっと怖いけど、チラノサウルスなんか見たかったね。

タイトルとURLをコピーしました