No.017 王様の耳はロバの耳

動物エピソードペットコラム

王様は自分にロバの耳がついていることをひた隠しにしますが、床屋だけは王様がロバの耳である事を知っていて、厳重に口止めしていました。ところが、床屋はそのことを黙っていることができず井戸の中に向かって、「王様はロバの耳だ!」と叫びました。すると、その声が井戸から井戸へ伝っていき国中の者が知ってしまうのです。そこで、王様は「これはみんなの意見を良く聞けるようにロバの耳にしたのだ」〜と展開していく有名なイソップ物語があるけど、好きだなー。

ロバの耳は大きくてよく聞こえる。写真家 大高成元氏撮影

実際のロバの耳を見ると紙を丸めた奉書状になっていて、自分の意思で聞きたい方向に向きを変えることができる。耳の付き方を動物別に見ていくと、動物によって付いている位置が違うことに気づくはずだ。ロバやサイなど草食獣は後頭部に付いており、背後の音も拾いやすくなっている。一方、肉食獣の方は、頭頂部あたりに付いており、耳で獲物の位置を絞り込むのに都合が良いようだ。虫を主食にするコウモリの仲間も、超音波を聞く耳が発達していて、付き方も肉食獣に類似している。
ウサギの耳は長いものと思い込んでいる人も多いのではないだろうか。ウサギはウサギだけで一つの大きなグループ、ウサギ目と分類されるほど独特な仲間だ。大きくナキウサギ科とウサギ科に分けられるが、このナキウサギの仲間の耳はわずか1.5cmくらいしかない。一方、ウサギ科のなかまのケープノウサギなどは体も大きく体重が1.5〜4kgになり、耳は15cmくらいになる。ウサギは逃げるとき耳を立てて逃げるが、これには2つの理由がある。一つは周囲の音を聞くため、もう一つは耳に血管が集中しており、ここで血液温度を下げる放熱作用をしているのだ。

アフリカゾウのオスの大きな耳、このゾウは体重約7,300kgもある巨大なゾウ。

ゾウもウサギと同じように、耳の裏側を見ると太い血管が走行していて、ここに水や泥をかけたり、耳をパタパタと動かし風を送りこんだりして血液温度を下げる。しかし、ゾウにはもう一つの使い道がある。アフリカゾウの耳の大きさは、片方で約150cmもある。両耳を広げ頭の大きさを加えるとなんと4m近くになるのだ。背の高さが3メートルある上、こんな巨大な団扇と強烈なトランペット音を出しながら群れで威嚇されたら、どんな猛獣も逃げ出してしまう。

アジアゾウの親子。アフリカゾウの半分くらいの耳。

外に出ている外耳(耳介)について書いてきたが、アザラシやセイウチの仲間には外耳はないが耳孔はあり、耳は聞こえる。アシカは小さな耳があるので、こんなところでもアザラシとアシカの区別がつく。クジラにも耳介がないので水中生活に適応した動物には不要なのかもしれない。
また、地下に住む多くのモグラには外耳がない。

あっ!痛てて、また孫に耳をかまれた。若いときと違うんだから止めとくれよ!

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