浴衣と洒落たいが、パジャマに団扇を片手にチョット夕涼みとしゃれてみようと、外に出てみると、舗装した道路は昼間の熱気が残りムンムンしており、たちまち汗が噴出す。やっぱり現代は冷房のきいた部屋でテレビでも見るに限るか。
動物は暑さにどうやって対応しているのだろう。講演のきめ台詞に、動物はカバンを持って学校にいかない、暑いときは直射に当たらずジャングルの木陰や土の中、樹の洞などで寝そべっている。と言っている。また涼しい場所まで移動してしまう手もある。さらに言えば、冬眠の反対で夏眠という究極の方法もある。そして涼しい朝や夕方、餌を探しに出かけになれば良いのだ。
われわれは冷房のきいた部屋に入る以外に、自分自身で体温調節する機能として汗をかいて体温調節下げることができる。動物で汗をかく種類は案外少なく、よく知られている動物にウマがいる。ただし、ウマの汗と人間の汗とでは汗腺の出る部位が違う。ウマの汗はアポクリン腺と言い毛根と同じところから分泌され臭いも強い。暑さより運動によって分泌が促されるので、ウマに汗をかかせることを、汗を揉む、と表現することがある。人間の場合は、毛根とは関係がない部位に位置しているエクリン腺から分泌され、臭いも動物の汗に比べれば少ない。運動しても出るが、暑いときに汗をかくことは良くご存知だろう。
汗腺の発達していない動物、たとえばイヌの場合、汗腺は足の裏にあるが、この汗は、体温調節や暑さとはあまり関係がない。イヌの体温調節は、パンティング(あえぐ)と呼ばれ舌をだらりとたらし、ハアハアとあえぐので、浅速呼吸ともいう。一見するとイヌがあえぐ姿は苦しそうだが、見た目よりはそうでもないのだろう。熱帯のシナイ半島の砂漠に生息しているベドウィンヤギは、発汗とパンティングの双方で暑さを凌ぐ。
ネコの場合は、自分の体を舐めてそのとき蒸発する気化熱で涼をとる。唾液をぬって気化熱を利用する動物は他にもコウモリやネズミの仲間がそうだ。私たちが夕方道路に水をまくのも同じで気化熱を利用している。ネコに学んでいるのだ。
暑い地方にすむ動物は、体温調節をする特殊な機能を体内に備えている。枚挙に暇がないが、たとえば、ラクダの体温は朝37度から日没39度くらいだ。これ以上あがれば発汗する。このほかにも砂漠に住む動物たちはそれぞれ特殊な機能を体内にもち暑さに対応している。
イヌが暑いとき庭に穴を掘って中に入ろうとするのは、暑さを避けるためと思ってよい。ペットも人間と同じで、炎天下に散歩すれば熱射病や日射病になりかねない。小屋の作りや置場所も充分考慮して夏を上手に過ごす工夫をしてみよう。
イヌがあえぐのは当たり前だが、人間があえぐのは運動のときくらいにしたいものだ。