No.032 おっぱいの魅力

動物エピソードペットコラム

上野のサル山は冬が恋のシーズンだ。いっとき喧騒に包まれていた山も落ち着きを取り戻した。観客がニホンザルの雌雄判別ができないので、若いオスが子ザルと遊んでいる様子を見て母子と勘違いして勝手にストーリーが展開している。ニホンザルの雌雄の見分け方の一つは、経産のメスの乳頭は1cmくらいピンク色になって見えることだ。オスでも乳首はあるが毛に隠れて見えづらく、これは正面から見たときの良い雌雄鑑別法となる。

ゴリラのかわいい赤ちゃんとふくよかなおっぱい。猿人の頃は結構似た感じだったかもね。写真家 大高成元氏撮影

さて、本題の動物のおっぱいだが、乳房は脂肪の塊だ。動物は妊娠すると乳房が大きくなってきて出産頃にピークになりお乳を製造してくれる。このお乳のおかげで、子どもは必要な栄養を得て成長していく。母親が充分栄養が取れない場合は、発情が来なく交尾意欲も出ないケースも間々ある。
栄養が行き届いたラクダは背中のこぶがはち切れんばかりに大きくなる。この脂肪の塊を水分が不足したときなど、水に還元して使う。また、尾に脂肪を溜め込む羊の脂尾羊は、いずれも栄養を脂肪の塊として1箇所に集中している。

ここでひとつ大きな疑問が生じませんか。
動物は妊娠すると乳房が大きくなると書いたが、私たち人間はどうだろう。女性たちは思春期になれば妊娠の有無には関係なく乳房が大きくなる。では何のために人間だけ特別このような変化をもたらしたか考えてみよう。
私たちの祖先はサルの仲間として進化し、およそ600万年ころチンパンジーから袂を分かち、直立2本足歩行するようになった。240万年前ころ、ホモ・ハビリス猿人が進化し、脳が大きくなり知能が発達したが、女性にとって難産の原因のひとつとなり、新生児はチンパンジーよりも一層未熟児の状態で生まれるようになった。新生児は首がすわらず母親は両手で支え、育児しなければならない。そこで育児を手伝い、食事を持ってくる配偶者や血縁関係者が必要となった。
猿人の女性たちは配偶者をヘルパーとして子供が成長するまで引き止めなければならなかった。そこでその手段として大きな役割を果たしたのが、ふっくらとした乳房だ。その後、数百万年の進化の間に、男たちはふくよかな乳房を魅力的な変化として捉え進化した。そして、ふくよかな乳房は、栄養供給源のみならず、男を性的に満足させる役割も併せ持った。もちろん、元来浮気性の男を長期間配偶者として留めるには、ほかの要因も多々あるのだが、それはいずれまたお話しよう。

現代でも依然としてボイン願望が残っているのも哺乳類たるゆえんかもしれない。しかし、結婚相手として男性を選ぶ場合、肉体的な要因よりも精神的な安らぎを求める女性が増加しているのは、子供をもうけて子孫を残すという動物本来の性質が、現代社会に適応して変わってきのだろう。

遊び相手はプレイボーイでも、結婚相手には子煩悩でやさしい人が良いのは、太古の昔から同じですよ。春は恋の季節、よい巡り合いを!

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