No.006 動物の鼻

動物エピソードペットコラム

桜の開花も間近。世界各地でさまざまな花があるが日本ではやっぱり桜が秀逸だ。花より団子では、と言われれば、それもありだ。
今日の話は、花ではなく鼻だということは良くわかっている。
それにしても、アラン・ドロンのチョット鼻先が上を向いた感じは良かったね。クレオパトラの鼻がもう少し低かったら世の中は又違ったろう、など、人の顔もまた鼻で印象が変わる。美男美女は昔から鼻筋が通っているけど、私の場合途中で凹んでいる。残念だ。

ゾウの鼻先はこんな感じ。鼻先に突起がありこれでピーナッツもつまむことができる。

動物の中で特別の鼻といえばやっぱりゾウだろう。なぜゾウが特別なのかといえば、彼らは鼻を、まさにサルの手と同様に使うことができるからだ。言い換えれば、4本の足と、1本の手を持った特別の動物とも言える。
ある日、竹ぼうきでゾウの放飼場を清掃していると、背後からゾウに竹ぼうきを取り上げられた。「コラッ何をするんだ」とあわてて取り返そうとすると、ゾウは竹ぼうきの柄を鼻で握り、ゆうゆうと背中を掻き始めた。まさに大きな孫の手だ。背中がかゆいときにちょうど手ごろの物を私が持っていたのでチョット貸してほしかったようだ。手ごろのものは木の枝でも、竹の幹でも何でも使っていた。

私が訪れたミャンマーやタイにおけるゾウの生息域は竹が多い。竹の食べ方を見ていると実に面白い。初めに葉の部分をしごくようにしてまとめて食べる。次に、細かい枝を折って一口大にして食べる。最後に太い幹を食べるのだが、幹は堅い表皮に被われているので、まず折って表皮の端を出す。それから表皮を鼻先で器用に掴んで引き剥がして中の柔らかい部分だけを食べるのだ。口の中に一口頬張っている間に、次に口の中に入れる分をゆっくりと確実に準備しているのだ。そのため鼻と口は休むことなく流れ作業のように動いている。
このほか、鼻本来の機能である匂いを嗅ぐことはもちろんだが、もうひとつ他の動物と大きく違うことは、水を飲むとき、一度鼻で水を吸い上げ鼻腔に溜めておいて、それから鼻先を口の中に入れてその水を噴出し飲むことだ。私がどのくらい入れることができるか計量したしたところ、成獣で7〜10リットルくらいは入った。ただし、母親からお乳を飲むときは、直接口で乳首をくわえて吸う。
このほかにも、大きな音を出したり、またあるときは強力な武器になったりするので、万能の鼻という人もいるくらいだ。

鼻の形が雌雄で違う。雄は立派、雌はかわいい。写真は、友人の写真家・大高成元氏

テングザルというサルがいる。ボルネオ島のジャングルに棲んでいるのだが、このサルの鼻が天狗に似ていることからこの名前が付いたのだろう。もっとも天狗自体は架空の動物で実在しないのだが、モデルはこのサルなのか、と考えるのは安易だろうか。雄は雌の倍くらいの体格で、鼻も大きく垂れ下がっている。雄の長い鼻は声を反響させるのに役立っているという報告もある。雌の鼻がツンと上を向いていてなんともかわいい。この鼻が好きだ。うーん 美女の条件をもっている。

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