No.121 タツノオトシゴの話

干支にちなんだ話ペットコラム

新年明けましておめでとうございます。

2012年も皆々様のご健康とご多幸を祈念いたします。

今年の干支(十二支)が辰なのはご存じの通り。

それでは、今年は干支の12種類の動物の順番がどのようにして決まったか、そしてタツとはどんな動物なのか、そのエピソードを紹介しましょう。

十二支の順番

暮れも押し迫った冬の寒い日、神様が動物たちに言いました。

「うふぉん、元旦にこの神殿に早くお参りした12頭を、来年から1年ずつ順番にその年のリーダーとしよう!」

これを聞いたみんなは大騒ぎです。何しろリュウやトラ、ネコ、ネズミまでこの話を聞いていたからです。そこで動物たちは、元旦に我こそは一番になろう、と思いながら帰りました。

ネコは帰ってから一眠りしているうちに、いつ集まるのか忘れてしまいました。そこでそっとネズミに聞きました。

「ネズミ君 神様は何時来るように言ったんだっけ」

すると、ネズミは、

「正月、2日の朝と言っていたじゃあないですか」

と答えました。

元旦、夜明け前なのに牛さんが神殿に向かって、僕は歩きがのろいから早めに出なきゃあね、とつぶやきながら歩いています。それを見たネズミはぴょんと牛の背中に飛び乗りました。そして、神殿の門まで来ると飛び降りて中にかけこみ一番になったのです。

ネズミにだまされたネコは翌日の2日朝早く到着し、神様から

「ワシは元旦に集合と言ったはずだぞ。さてはネズミにだまされたな」

と笑われました。
これを聞いたネコはそれいらい、ネズミを追い回すようになりました。

早起きのニワトリの声を頼りにぐっすり寝ていたイヌとイノシシはニワトリが朝寝坊したので、ようやく間に合ったそうです。

そして、ネズミ、ウシ、トラ、ウサギ、タツ、ヘビ、ウマ、ヒツジ、サル、ニワトリ、イヌ、イノシシの順に12頭の動物が指名されました。

実在しない動物

じつは十二支の中にひとつだけ現実には存在しない空想の動物がいます。

それが今年の干支「タツ」です。

空想上のタツは迫力満点のモンスターですが、こちらはやさいしい感じでほのぼのとしますね。写真家 大高成元氏撮影

タツは竜とも呼びますが、あるときは空をおおうほどの大きさになり、水中に潜り、空も自在にかけめぐることができるウルトラモンスターです。中国では昔からリュウの存在を認め、王様の生まれかわりとして崇められていました。そこでこのリュウも入れようという事になったのです。

日本でも神社仏閣などでリュウの絵や彫刻がありますが、どんな動物がモデルかわからないと思います。それもそのはず一つの動物をモデルにしたのではなく、以下の9種類の動物がモデルとなっているのです。

  1. 頭はラクダ
  2. 目はオニ(又はウサギ)
  3. 角はシカ
  4. 耳はウシ
  5. うなじはヘビ
  6. 背中はサカナ
  7. おなかはミズチ(想像上の大蛇。進化して竜となる、と言われる)
  8. 手のひらはトラ
  9. 爪はタカ

を合わせて作っています。
日本で描くリュウ(竜)は3本指が多いのに対し、中国で一番位の高いのは5本指です。
また、食べ物はツバメの肉と宝石が好物だそうですが、ツバメの巣は現在も高級食材の一つとして使われているのでわかりますが、お肉はどうなんでしょうね。きらいなものは鉄、そりゃあダイヤと鉄でどちらをとるか言われたら、ダイヤだろうね。その他、ムカデや笹もきらいだそうです。
西洋にもドラゴン神話がありますが、こちらは背にコウモリのような翼をもち、口から火や毒を吐くと言います。姿かたちも、西洋のドラゴンは恐竜時代のティラノザウルスに翼が生えたようなタイプで、アジアの大蛇タイプと違います。

十二支の役割

今からおよそ3,500年前に中国で作られたカレンダーと考えられ、すでに太陽や月を観察して1年の長さを発見し ていた中国は、12区分し人々が生活の目安となるようにしたのです。そして、まだ字が読める人が少ない時代ですから、覚えやすいように身近にいる動物名を 付けました。その後、日本には約1,400年前に伝来しました。

タツノオトシゴ(竜の落とし子)

魚綱 トゲウオ目 ヨウジウオ科 日本近海及び朝鮮半島南部
タツのモデルになりそうなこの魚は、大きさが約10cmで餌は動物プランクトンです。ふつうの魚にある腹びれや尾びれがないため、胸びれと背びれを使って泳ぎます。そのため立ったまま泳ぐようなかっこうになり、早く泳ぐことができません。また、オスがおなかに子どもを育てる袋(育児のう)を持っていて、メスはその中に輸卵管(卵を通す細長い管)をさしこみ産卵します。オスの育児のうの中で孵化(ふか)したこどもは卵黄を栄養にしてその中で育ち、体長が 8~9mmになると育児のうから出ます。外に出た子どもはすぐに泳ぎ、近くにある海藻に尾があたると巻きつけて静かにしているそうです。
タツノオトシゴのなかまは、このほかに熱帯から亜熱帯の海に30~40種すんでいることが知られています。

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