No.008 動物の頬袋

動物エピソードペットコラム

よくばって大きな飴玉をほおばったのは良いが、口の中で自由にならずなかなか四苦八苦しているドジなやつ、いるよね。えっ私だけ、そんなことありません。

ニホンザルの左あごの頬袋に食べ物が入り大きくふくらんでいる。安全なところにいってゆっくり食べるのだろうね。写真は友人の写真家・大高成元氏

事実いたんだサル山のニホンザルに。ある日、頬袋に指を入れて中のものを引き出そうとしているサルがいた。朝から晩まで、ついには両手を使ってやっているのだがどうしても出てこない。何日経っても取れずにいるので、仕方なく捕獲して取り出すことにした。すると頬袋の中から出てきたのは食べ物ではなくプラスチック製のオモチャのゾウの頭だった。ゾウの長い鼻が邪魔をしていたのだ。ほんとうにえらい目にあったね。

ふつう頬袋に入った物は他人が取ることは絶対できないと思うでしょう。しかし動物の世界は例外だらけだ。

ある日、親子が並んで入園者の投げ入れる餌を待っていたところ、ピーナッツが子ザルの方に投げ込まれた。子ザルはそばに落ちたピーナッツをすかさず拾って口の中に入れた。その様子を見ていた母親はいきなり子どもの顔を引き寄せると、口の中に手を入れて頬袋の中に入っているピーナッツを取り出し自分で食べてしまった。子どもは悔しそうにキャッ、キャッと鳴いていたが母親は知らんぷり。まるで私の子どもに何をしようと勝手でしょう。子どものものは親のものと言っているようだった。もちろん他人同士ではこんなことはない。

ところでサルの頬袋の大きさはどのくらいあると思いますか。その答を上野動物園の獣医師が出した。ニホンザルと近縁の体重10kgのタイワンザルが入院したとき計量したのだ。片方の頬袋に獣医師が風船を入れて膨らませ、そこに水を入れて計測したところ、130−150mlの水が入った。ちょうどりんご1個分くらいだ。この頬袋は全てのサルにあるわけではなくゴリラやチンパンジーはない。およそ200種類いるサルの中で頬袋を持っているサルはニホンザルをはじめ40種くらいだ。

動物たちは食物を蓄える方法をいくつか持っている。究極の方法はクマやジリスのように自分の体に脂肪分として蓄える。また、オオカミのように地面に埋めたりヒョウのように木の上に引き上げたりしておくものがいる。それから頬袋に一時ためる動物、サルやリス、それからハムスターの仲間にもためる種類がいる。

クロハラハムスターはハムスターの中では大型の部類だが、頬袋に食物をつめては巣穴に運び総量およそ90kgためるという。このハムスターは体重が110〜900gなので90kg集めるのは大変なことだが、頬袋があるお陰で約6ヶ月間の冬眠用に集めることができるのだ。さらに、クロハラハムスターの中には、泳ぐときに頬袋をふくらませて浮き袋の代わりにして泳ぐものもいるというから驚きだ。

人間だって頬を膨らませることがある。皆さんも経験があるだろうが子どもや○○がすねてほっぺをプーと膨らませることだ。これは食物を貯えることや、浮き袋にすることでもないので、人間独特の頬の使い方か。

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