No.148 サーバル – おもしろ哺乳動物大百科 95 食肉目 ネコ科

おもしろ哺乳動物大百科食肉目ネコ科ペットコラム

ネコ科

サーバル

通常はサハラ砂漠以南のアフリカで中央アフリカの熱帯雨林を除いた地域に広く分布し、エチオピアのバレマウンテン国立公園では標高3,200m、ケニアの キリマンジャロ山では3,800mの高地で生息が確認されています。なお、北アフリカのモロッコ、アルジェリア、チュニジアの北部に少数が生息していると いう報告がありますが、このうちアルジェリアではすでに絶滅したと考えられ、またチュニジアの個体群は東アフリカから再導入されたものといわれています。 ほとんどの環境に適応し生活していますが、丈の高い草地や開けたサバンナ、小さな森林、沼沢地や川沿いの葦の茂みなど湿地を好みます。これらの地域は水場 が1ヵ所以上あり、いずれも主食となる齧歯類が多く生息する場所です。交尾期と子育て以外は単独で生活し、ネコの仲間としては日中の活動も多く報告があり ますが、本来夜行性でセレンゲティの調査報告例では活動のピーク時間が22時~23時と4時~5時、また他の地域では主に薄暮の頃と生息環境により差があ ります。日中の休息場所や出産時には巣穴として、葦が小山のように堆積した中やイボイノシシやツチブタ、ヤマアラシが捨てた穴を利用します。行動圏は南ア フリカの調査例で2.1~2.7km²、中央アフリカ東部のタンザニアでは、オスが11.6km²でその中に少なくとも2頭のメスがいて、メスは9.5km²で、 1晩の移動距離は2~4kmでした。聴覚や嗅覚が優れ、およそ15分毎に立ち止り地下に潜む動物の動きを探っていた報告があります。コミュニケーション は、発情期には尿を草にスプレーしたり頬腺をこすり付け、さらに地面をひっかいたりして頻繁に匂いつけを行います。高い声や、唸る声、喉を鳴すのも聞かれ ることから声による交信もしていると推測されています。サーバルとはポルトガル語で猟犬を意味しています。

からだの特徴

野生のサーバル見たら興奮するだろうなー。きっと。写真家 大高成元 氏撮影

頭部は小さくて頸部が長く、ネコ科のなかでは大きい耳は左右の基部が接近していて、大きく三角形で、先端が丸みを帯びて背面が白く虎耳状斑となっていま す。尾は短くて黒い輪状斑があり先端は黒色です。前肢には5本、後肢には4本の指があり、指向性で引っ込めることのできる鈎爪をもっています。ひと跳びで 4mも跳ぶことができる4肢は発達して長く、足裏には肉球があり、獲物に音を立てないで近づくことができます。毛は柔らかく、体の上部は明るい黄茶色で腹 部は白く、体全体に大小の斑点、頸部から肩にかけて黒い縞、肘と飛節には横縞がありますが、形状と濃淡は生息地による変異があります。虹彩は淡黄色、瞳孔 は縦長の楕円形に収縮します。体長は60~100cm、尾長24~45cm、体重8.6~18kgで、メスよりオスの方が大型です。歯式は門歯3/3、犬 歯1/1、小臼歯3/2、臼歯1/1で合計30本です。乳頭数は3対です。

えさ

獲物のおよそ90%は体重200g以下のネズミの仲間で、1年間におよそ4000頭を獲ると推定されています。地下に潜むネズミを察知すると前足で穴を掘 り、長い親指と鋭く曲った爪で引っかけて捕えるほか、ジャッカルやキツネのように跳び上がって上から両前肢で押さえ込むようして捕えます。餌の種類として はヨシネズミ、アレチネズミ、デバネズミ、ヌマネズミ、ジリスなどのげっ歯類、キンモグラ類、トガリネズミ、アカクビノウサギなどが挙げられます。足が速 く木登りも得意なことから、樹上のトカゲも捕食します。稀にダイカー(小型のウシ科の動物で、成獣の体重が15kg前後のものが多い)や同じくらいの小型 のアンテロープの幼獣を捕えます。泳ぎも上手なので水中に入り水鳥のカモ、ヘラサギ、フラミンゴやカエル、カニも捕食します。さらに地上性のホロホロチョ ウが飛び立つのを狙い1~3mジャンプして空中で捕らえるところが観察されています。そして、他にも昆虫、ヘビ、腐肉から果実も餌となります。

繁殖

繁殖期は決まっていませんが、アフリカ南部のジンバブエでは9月~4月にかけて、東アフリカでは3月~4月と9月~10月の2回ピークがあります。発情は 1~4日間続き、コンソート関係(配偶関係)の間は一緒に休憩し獲物を獲ります。妊娠期間は67~77日、岩の割れ目や草叢の中に作った巣、ツチブタやヤ マアラシが捨てた巣穴を使い2~3頭の子を出産します。新生児の体重は230~260g、生後9日齢で目が開きます。生後約1ヶ月齢で母親は獲物を持ち帰 るのでこの頃固形物も食べ始めるのでしょう。犬歯は生後6ヶ月齢ごろ永久歯に代わり、この頃に離乳して自分で狩りを始めるようになります。オスは自分で完 全に狩りができるようになるとすぐに母親から追われますが、メスの方はもう少し長く母親と一緒にいます。性成熟は1歳半~2歳です。
長寿記録としては、ドイツのクレフェルト動物園で1982年6月27日に生まれ、2004年12月24日にオランダのロッテルダム動物園で死亡した個体(メス)の22歳5ヶ月があります。
人間の他には、野生の天敵としてブチハイエナ、リカオン、ヒョウなどがいます。

亜種

分布が広いために、地域によって体の大きさや斑紋などに大きな差があるので6または7亜種に分類する学者もいます。

データ

分類 食肉目 ネコ科
分布 アフリカ モロッコ北部とサハラ砂漠以南
体長(頭胴長) 60~100cm
体重 オス 9~18kg メス 8.6~13kg
尾長 24~45cm
絶滅危機の程度 モロッコに分布する亜種は生息域が狭く、孤立し、個体数も少ないので絶滅の恐れが ありますが、サハラ砂漠以南では分布域が広く、個体数も安定していることから、現在のところは絶滅の恐れは少ないと判断され、種としてはIUCN(国際自 然保護連合)発行の2012年版のレッドリストで低懸念種(LC)にランクされています。しかし、主要な生息地の湿地帯の草地が焼畑農業で消失しつつあ り、餌となるネズミの仲間が減少したことで生息数が減少している地域もあるので注意が必要です。その他、毛皮が美しいためセネガル、ガンビア、ベニンでは 毛皮目的、ナイジェリアでは薬用目的のために捕獲されています。ごくまれにヤギ、ヒツジの幼獣をまたニワトリは捕食するので農村地帯では狩猟対象となって います。

主な参考文献

Estes, R.D. The Behavior Guide to African Mammals. The University of California Press. 1991.
林 壽朗 標準動物図鑑全集 動物Ⅰ 保育社 1968.
今泉忠明 野生ネコの百科  データハウス 1993.
今泉吉典 監修 世界哺乳類和名辞典 平凡社1988
Nowell, K. & Jackson, P.(ed) Wild Cats―Status Survey and Conservation Action Plan― IUCN 1996.
成島悦雄 ネコ科の分類 In世界の動物 分類と飼育 2 食肉目 (財)東京動物園協会 1991.
Nowak, R. M. Walker’s Mammals of the World, Six Edition Vol.1, The Johns Hopkins University Press, Baltimore 1999.
Wilson, D. E. & Mittermeier, R. A.(ed) Handbook of The Mammals of The World. Vol.1 Carnivores. Lynx Edicions 2009.
Skinner, J. D. & Smith, R. H.N. The Mammals of The Southern African Subregion,
University of Pretoria. 1990.
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