No.038 ウンチの話 その2

動物エピソードペットコラム

動物園の飼育係は担当動物への愛着が高じると、すべてがその動物のために回転するようになる。暑いときにウンチの話で恐縮だが、一番臭いのは肉食獣のウンチで、朝、狭い室内に入ると強烈なアンモニアの匂いが立ちこめ、涙目になってくる。

ナマケモノ さかさまにぶら下がるので毛流も背から腹にかけている。 写真は筆者

先日久しぶりにゾウの削蹄を頼まれ、ノコノコ出かけて行ったが、ゾウのウンチは良い匂いだ、と言ったら、人間に比べるとね、だって。40年もゾウのウンチと付き合っていれば、匂いに慣れていたのかもしれない。久しぶりに嗅いだので懐かしく良い匂いと感じたのかもしれない。
友人のパンダの飼育担当者は、パンダも竹の消化効率は悪く、約20%しか消化できないこともあり、その匂いは笹の香りがして良い匂いだといっている。人間に比べればね。
ウンチと食物の関係は歴然としており、クマは雑食獣で、動物園ではサツマイモの蒸かしたものや、クマ用に開発したペレット、煮魚、りんご、青菜、青草、パンなど、人間に似通った食事をしている。そのため、300kgもあるクマは、大量のウンチをする。それも人間と同じようなやつだ。

ウンチはコロコロと硬そうだね。写真は(財)東京動物園協会

ある日、ナマケモノの飼育員がニコニコしながら事務所に入ってきた。何か良いことでもあったの、と聞くと、今日は8日ぶりにナマケモノがウンチをした、と言った。飼育員の話によれば、ナマケモノは週に1回の排便で正常だそうだ。動物園の飼育員の報告によれば、排便が近づくと、食欲がなくなり、直前には、突然動き出すそうだ。 野生の場合は、木の上から降りて地面に尾を使って穴を掘り、終わると落ち葉をかけて再び木に上るというからマナーは良い。一週間もかけて消化するので、きっと無駄がないんだろうね。それにしても、食べた餌がすべて消化されて出てくるまでには1ヶ月を要するというから、只者ではない。充分に消化された便は、硬い粒状で、私は嗅いだことはないが、展示場の外からでもわかるほど臭いという話なので相当なものでしょう。

慢性便秘症のような原因は、かれらの消化器をみれば納得がいく。反芻動物ではないのにも関わらず、大きな胃があり、一日に10グラム程度の葉をゆっくりと時間をかけて消化する。胃は複数に分かれ、最初の部屋で微生物に木の葉を分解させ、最後の部屋で消化液が出て消化し栄養を吸収している。ゆっくりとした行動は、代謝を抑え少量の食事で生存できるような仕組みを完成させたのだ。

どうも野菜が苦手で、ついつい肉や魚ばかり食べると便秘がちとなる。わずか数日でこんなに辛いのだから、ナマケモノも出すときは大変なんだろうね。今日は新サツマイモでも食べようかな〜。

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