ニワトリにまつわる日本神話と鳥にまつわるクイズ

動物一般

コケッコー、コケッコー

新年おめでとうございます
本年も皆様が健康で楽しい日々が送れるようにお祈りしています。

 

日本神話にニワトリが登場する物語があります。

むかし高天原(たかまがはら)の国に天照大神(あまてらすおおみかみ)という太陽のように明るい神様がいました。
困ったことに彼女には乱暴者で名高い須佐之男命(すさのおのみこと)がいました。諫めても反省の気配もない弟に手を焼き、天の岩戸に引きこもってしまったのです。
するとどうでしょう。たちまち国中が真っ暗闇になりました。

これには神様たちも困り果て、岩戸の前に集まると歌や踊りではやし立てました。そして朝が来た合図にニワトリたちにコケッコー、コケコッコーと次々と鳴かせたのです。
外が余りに賑やかで、時を告げるニワトリまでも盛んに鳴き続けています。不審に思った天照大神が重い岩戸を少し開けて覗きました。
この時を待っていた力自慢の神様がグイとばかり岩戸を開き、一人の神様がすかさず天照大神の手を取り外に誘いました。まばゆいばかりの光がさんさんとふりそそぎ元の明るい国に戻ったのです。

ニワトリの祖先と十二支の話

ニワトリが家禽として飼われ始めたのは今から約5000年前、あるいは8000年前頃など諸説あります。
この頃アジアに広く分布していたセキショクヤケイ(赤色野鶏)が家禽化されたといわれています。
日本では約2000年前の弥生時代の長崎県壱岐(いき)市のカラミ遺跡と原の辻遺跡からニワトリの骨が出土しており、この頃から飼育を始めたと考えられます。

 

日本の最古の歴史書として著名な古事記と日本書紀は約1300年前頃まとめられていますが、その中に平安時代(794~1185年)に中国から「小国(ショウコク)」と呼ばれる尾の長い鶏が渡来したと記載されています。当初は宮廷の闘鶏として飼育していましたが、のちに各地のジドリと混血し日本固有の種となる尾長鶏や東天紅が作出されました。

十二支の考えは中国で約3,500年前に始まったと言われており、日本には5世紀後半に中国から伝えられました。ところで今年は酉年ですが、この「酉」とは、「果実などが熟した状態」のことわさすので、「酉年」は「商売繁盛の年」とも言われ縁起がいい年だそうです。

セキショクヤケイ(キジ目 キジ科 ヤケイ属)の特徴

ニワトリの祖先として考えられているセキショクヤケイは、オスの体重は800~1000g、メスが500~700gなので、卵用種として有名な白色レグホーンの約半分、愛玩用として飼われているウコッケイ程度の大きさしかありません。繁殖期は3~5月で地上に枯草や草で巣を作り、産卵数は4~6個で抱卵期間は18~20日間です。多摩動物公園での繁殖例では、ふ化後3~5ヶ月には母親のもとを離れて独立しますが、産卵開始は翌年の春からになると報告されています。
1羽のオスと数羽のメスで群れを作ります。オス、メス共に順位制が見られ、とりわけ繁殖期のオスはメスを獲得するため気性が激しく攻撃的になります。このような荒い気性は家禽化されても残っているので、闘鶏や生贄として祭事に利用されるようになりました。また、オスは夜明け前に自分のなわばりを主張して大きな声で鳴きますが、この性質も家禽になってから残っていて時計代わりに利用されてきました。

鳥に関するクイズ

1.世界中で鳥は何種いるでしょう?
①約5,000種 ②約10,000種 ③約15,000種

2.ニワトリの1年間の産卵記録の最高は何個でしょう?
①165個 ②265個 ③365個

3.ニワトリの羽は何枚くらいあるでしょう?
①約500枚 ②約5,000枚 約50,000枚

4.ニワトリの孵化日数は?
①約2週間 ②約3週間 ③約4週間

5.ニワトリは小石を食べることがある?
①ある ②ない

6.白色レグホーンの指はふつう何本あるでしょう?
①3本 ②4本 ③5本

7.ミルクを飲ませる鳥は次のどれでしょう?
①ニワトリ ②カラス ③ハト

8.ガンやカモの仲間は1年の間に飛べない時期がある?
①ある ②ない

9.鳥にも汗腺がある?
①ある ②ない

10.マダガスカル島に生息していた絶滅種・エピオルニス(エレファントバード)の
卵はニワトリの卵重量60gの何個分でしょう?
①約50個分 ②約100個分 ③約150個分

 

回答と解説

1. ②約10000種
動物の分類は近年DNAの解析が進み、ますます細分化する傾向にあります。10年前に約9,000種と推定されていましたが、2016年12月8日 IUCNレッドリストでは11,121種としています。新種が発見されて増えたのではなく、最新の更新で700 種近い鳥類が再評価され、亜種から種になったものです。

2. ③365個
365個の産卵記録は(1938~1939(昭和14)年11月)に橋本善太氏によって達成されギネスブックに乗りました。1952年の閏年には366個の産記録もあります。原種となっているセキショクヤケイは通常一腹で1年に5~8個産みます。キジ科の仲間は採卵すると、産み足す習性があり、毎日採卵することで産卵数を伸ばすように改良したのです。そのために日照時間を調節するとともに、生息環境を繁殖期と同様な温度や湿度にしたり、餌も青菜の他にもカルシュウム補強など十分配慮したりしています。

3. ②約5000枚。
ニワトリは品種が多く120種以上もいるので小型と大型では枚数がかなり違うことでしょう。一応の目安としてください。小型のハチドリは約1500枚、コハクチョウは25,000枚以上などの報告もあります。

4. ②約3週間
孵化日数の長い鳥としては、シロアホウドリは78~80日、キウイ(ニュージーランドに生息する飛べない鳥)約75日、エンペラーペンギンは7~8週間です。
以前は孵(ふ)卵器の温度は約38度、湿度65~70%に設定し、毎日転卵と言って90度くらいずつ卵を回し、湿度も孵化が迫ると変えていました。今ではこれらの作業を全自動で行っています。

5. ①ある
鳥の嘴(くちばし)には歯がありません。その代り砂のう(筋胃とも呼ばれる)があって砂や小石を飲み込んでここにためておき、骨や繊維を砕くのを助けています。

6. ②4本
前に3本、後ろ向きに1本(第1趾・親指)あって小指が欠けています。 鳥全般で見ると、ダチョウは中指と薬指の2本指で、草原を走るに適しています。

7. ③ハト。
繁殖期になるとオス、メス共に食道の嗉嚢(そのう)の壁から脂肪とタンパク質を多く含んだチーズ状の物質が分泌されます。ヒナは母親の口から頭を入れて、別名このハトのミルク(ピジョンミルク)と呼ばれる液体を飲みます。ハトの仲間は嘴(くちばし)を水につけた状態で飲むことができます。

8. ①ある
多くの鳥は繁殖期が終わると換羽します。ガンカモ、オオバンなどの水鳥は一度に多くの羽が抜けて一時飛べなくなります。換羽は年2回(オオルリ冬羽と夏羽)か、またはライチョウのように3回する種類もいます。

9. ②ない
鳥には汗腺がありません。暑いときには熱は気嚢(きのう)の中で汗になり、呼気と共に鼻と口から外に放出されます。
寒い時は体温を逃がさないために羽を膨らませ暖かい空気の層を作ります。
鳥は飛ぶためにからの組織を極力軽くしています。歯がなく軽い羽をもち、消化器も哺乳類に比べると極端に短いのです。

10. ③約150個分
マダガスカル島に生息していた絶滅種・エピオルニス(エレファントバード)の1個の卵は約9000gあり、ニワトリの約150個分の重さでした。

 

酉のように元気いっぱい大声を出して頑張ろう!

本年もエレファント・トークをよろしくお願い申し上げます。

川口幸男・中里竜二・大高成元(写真家)・伊藤政顕・山本洋輔(両生類・爬虫類)
川口明子・金井慎人・金井理恵

干支のニワトリについて、詳しい情報を知りたい方は、へーベルハウスのホームページを参照してください。

参考文献
鳥に関する300の質問 A&Hクリュクシアンク著 青柳昌宏訳 1982 講談社

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