イノシシとブタ

2019年の干支はイノシシ、分布域はアフリカおよびユーラシア大陸まで広く分布しています。人類が家畜化したと考えるイノシシの化石で一番古いものは、およそ1万年前に中国で出土し発祥の地とされています。その後各地で家畜化が進み、地域によって特徴のある品種となっていきました。今では400~500の品種が作出されています。

Source:Yves de l’Isle flickr

Source:Akira Uchiyama flickr

現在のブタの体形は、原種となったイノシシに比べるとかなり変化しています。イノシシは上半身が著しく発達し頑丈で、猪突猛進するにふさわしい体形ですが、ブタは上半身の厳つさは消えていきます。二ホンイノシシは地味な動物で、いかにも猪突猛進を連想させますが、世界にはもっと特異なイノシシもいます。イノシシは地味な体駆ですが、アカカワイノシシやヒゲイノシシなど、きれいなイノシシもいます。

私は中でもバビルサ属のバビルサに興味を持っていました。本種はインドネシアのスラウェシ島とその周辺部の島にしか生息していません。日本で飼育している動物園はなく、世界でも東南アジア以外では欧米のいくつかの動物園で飼育している程度です。何が変わっているかと言えば、上顎の犬歯が湾曲して上顎を貫通して伸びるのです。貫通した牙が額に突き刺さっている骨格標本さえあります。

Seen at the Field Museum of Natural History; Chicago, Illinois.

Source:Sam Wise flickr

下顎の犬歯も後方に伸びて4本の牙があるよう見えます。上顎犬歯の長さは30~40cmに達し、そのため、原産国ではシカイノシシと呼んでいます。他にも体毛がほとんどないことや、他のイノシシのように子どもにはウリ坊のような模様がありません。シンガポール動物園に行く機会があれば見ることができますし、インドネシアの各地の動物園では普通に飼育しています。珍獣の一つに挙げてもいいと思います。

日本人が好む食肉は農林水産省のデータによると豚肉です。現在世界中でどのくらいブタを飼育しているか統計を見ると、世界中の総計は2016年で約92億頭です。国別でみると中国がダントツで多く、約4億5125万頭、第2位は米国で約7100万頭、3位ブラジルの約3900万頭、日本は約920万頭でした。

イノシシを家畜化したのがブタ、というのは知られているところですが、先日、孫と一緒にトンカツを食べにレストランに行きました。メニューに三元豚のトンカツと出ていました。改めて調べてみると、「三元豚」と言う種類はいなく、3種類のブタを交配してそれぞれの持つ長所を取る、つまり良いところ取りした雑種なのです。現在、日本の養豚業界で主流なのが「LWD」の組み合わせだそうです。

  1. 最初に L(メス)ランドレース × W(オス)大ヨークシャ
  2. 生まれたメス × D(オス)デュロックのオス
  3. ここで生まれたブタが L×W×D ⇒ 雑種の三元豚です。

私たちが日頃食べる豚肉の多くは、数種の豚をかけ合わせることによって生産されています。その代表的な品種が、下記の5品種になります。これらの品種の優れた特徴を生かし合うことで、より美味しく、安定して供給できる豚肉が誕生するのです。
ちなみに、バークシャー(黒豚)と中ヨークシャーは、単種のブランド豚(銘柄豚)としても人気があります。

人気の5品種

  1. ランドレース(L)
    デンマーク原産。オス 約330㎏、メス 約270㎏。白色の大型種。成長が早く日本で一番多く飼育されています。赤肉が多く肉質が良い品種です。
  2. 大ヨークシャー(W)
    イギリス原産。オス 約370㎏、メス 約340㎏。白色の大型種。ランドマークに次いで多く買われています。赤肉の割合が多く肉質の良い品種。
  3. デュロック(D)
    アメリカ原産。オス 約380㎏、メス 約300㎏。全身が茶色。体質が頑健で特に暑さに強い品種。
  4. 中ヨークシャー(Y)
    アメリカ原産。オス 約250㎏、メス 約200㎏。成長が遅いため日本ではあまり飼育されていません。
  5. バークシャー(B)
    イギリス原産。オス 約250㎏、メス 約200㎏。日本では「黒豚」として鹿児島県で多く飼育されています。肉質が良く美味しい品種です。

今年もイノシシならぬブタのお世話になりそうですね。

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