2015年の干支、ヒツジにまつわる昔話

動物一般

明けましておめでとうございます!

2015年の干支にちなみヒツジにまつわる昔話を紹介しましょう。

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– 羊を贈る –

中国は親孝行の国として有名な国です。

むかしむかし、おじいさんとおばあさんの息子は良縁に恵まれ、結婚して幸せに暮しはじめました。やがて待ち望んでいた男の子を授かりました。やさしい夫婦は一人っ子を大切に思い、あまやかせて育ててしまいました。わんぱく盛りの年頃になると、息子はなんでも自分の思うように通そうとして、わがままの限りをつくします。夫婦はほとほと困ってしまいました。

初夏がきて麦が金色にかがやくころに、実家に帰った夫婦は息子のこのありさまを涙ながらに両親に話しました。それを聞いた両親は

「麦刈りが終わったあとで孫に会いに行ってあげよう」

と言ってくれました。約束通り、おじいさんは飼っているヒツジの母子を連れて孫に会いに来ました。

孫はヒツジの子とおおよろこびで遊んでいました。子ヒツジは孫に追いかけられて母ヒツジから遠く離れてしまいました。すると母ヒツジが「メー、メー」と鳴きました。母親の声を聞くと、子ヒツジは急いで戻ってきました。そして、母親のおなかの下にひざまずくと、お乳を飲み始めました。やがて腹いっぱいになると満足してぐっすりと眠ってしまいました。

そこで孫はおじいさんにたずねました。

「おじいさん、おばあさん、どうしてお母さんは鳴いたの?」

「それはね。お母さんは子どもが遠くに行ってしまうと心配だ。それでお乳の時間だよ、と呼んだのさ。お母さんは子どもがそばにいれば安心できるし、子ヒツジはお乳を飲めれば満足だろう。お乳を飲んで大きくなったということを、良く知っている。それで、かならずひざまずいて飲むのさ」

そして、おじいさんは話をつづけました。

「人間も同じだ。みんなお母さんのお乳を飲んで大きくなっているんだ。子どもを育てることは、とてもたいへんなことだ。いつも、おなかをすかせていないか、冬、寒くないか、夏になれば暑くてかわいそうだからすずしいところに行こう、とね。お父さんとお母さんは、いつもお前のことを心配しているんだよ。だから、両親の言いつけを守れない子どもは、ヒツジより聞き分けのない子どもだと、みんなから笑われるんだ」

これを聞いて、孫は言いました。

「おじいさん、おばあさん、ぼくが悪かったよ。これからは、お父さんとお母さんのいうことを聞くよ」

それからおじいさんとおばあさんは、毎年孫にヒツジを贈り、孫は年を追うごとに良い子になりました。この話が広まってくると、他のうちでもヒツジを贈って孫のしつけをするようになったそうな。

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干支のヒツジは日本やアジア各国でも使っていますが、ベトナムではヒツジの代わりにヤギが干支になります。
ヒツジは8000~10000年前から家畜として飼育され、2012年国際連合食糧農業機関(FAO)の集計によれば、世界ヒツジの飼育頭数ランキングの第1位は中国の1億8700万頭、第2位インド7500万頭、第3位オーストラリア7472万頭、日本は世界158位で12000頭(2010年)でした。
日本の減少理由は、気候が高温多湿で寒冷地を好むヒツジに適さなかったことや、国土が狭く大きな群れで放牧する農家が少なかったことに起因していると考えられます。

世界中では10億頭以上が飼育され、ラムやマトンになり、人々は肉や乳、チーズなど舌鼓を打って食し、腸はテニスラケットの弦、脂肪は化粧品の材料として使われています。さらに、家に入ればムートンを敷き、毛で編んだセーターを着、外出の時はウールのコートにマフラーを巻くなど、いやはや、まさに捨てるところがないくらい広範囲に利用され、お世話になっているのです。

やさしい外観は見る人の心を和やかにしますが、ヒツジはその代表的な動物の1種でしょう。

今年はヒツジにあやかっておだやかな年になりますように一緒にお祈りしましょう!

本年もエレファント・トークをよろしくお願い申し上げます。

川口幸男・中里竜二・大高成元(写真家)・伊藤政顕・新宅広二
川口明子・金井慎人・金井理恵

干支の羊について、詳しい情報を知りたい方は、へーベルハウスのホームページを参照してください。

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