暑中お見舞い申し上げます

動物一般

連日報道される「東日本大震災」による被災地の様子や、原発による放射能汚染の影響には心を痛めます。関東東北の太平洋沿岸の動物園や水族館もそれぞれ被害を被り、大変な努力をされているようで、改めてお見舞い申し上げます。

さて、夏の定番、NHKラジオ『子ども科学電話相談』に5回ほど出演させて頂いております。
私の出演日は、7月20日、30日、8月5日、25日、26日です。専門は哺乳類ですので、サル、クマ、オオカミ、ライオン、そしてゾウなどの質問をしてください。
みなさん動物園に行って入り口から順番に見た動物たちの『不思議だな?』と思うことを質問してください。子ども時代は、あらゆることに、どうして、なぜ、という疑問をもつことが大切です。
私たち解答者はみなさんの鋭い突っ込みに、背中に冷や汗をかきながら回答しているんですよ!

ところで、北海道札幌市円山動物園は、現在ゾウがいないので、将来誘致しようという計画が持ち上がっています。私は、その外部コーデネーターとして昨年より参画しております。
依頼を受けたとき真っ先に思ったのは、現在の最先端の飼育技術を導入している動物園を参考にすることです。早速、海外の文献やインターネットで情報収集に当たりましたが、世界各国では、動物園の規模や、気候条件、市民の希望などがあり、簡単にどこを参考にすべきか決められません。
そこでふと思い出したのが、前の記事でも紹介した北米でゾウのコンサルト開業している、アラン・ルーフクロフト氏です。彼は、北米はもとより、イギリス、アイルランド、ドイツ、デンマーク、スペイン、オランダ、スウェーデン、スコットランド、フランスほか、まさに世界を股にかけ活躍しているゾウの飼育技術の第一人者なのです。
私は、1986年、1989年、1993年とほぼ3年に1回渡米していました。1986年にサンディエゴ動物園に行ったとき、マービーン・ジョーンズ氏(コンピュターの発達していない時代、最も世界の情報に詳しい人の一人)から、今、北米で最も優秀なゾウ使いの一人だから、絶対に会って行きなさい、とその場でアラン氏に電話していただきました。翌日、サンディエゴワイルドアニマルパークでゾウのショウや裏側の飼育エイリアを見せてもらい、おまけに夜は自宅に招待されて、家族で食事までご馳走になりました。
その後も渡米するたびに、お世話になっていましたが、私は英語が苦手で、ついつい疎遠になっていました。
しかし、今回は世界中のゾウについて精通している彼を頼るのが一番と思い、連絡をとると、彼は懐かしがって親切に数々のアドバイスを頂きました。昨年の訪欧した動物園も彼が推薦したもので、素晴らしい施設と関係者たちでした。
一方、円山動物園は今年の秋に、彼を日本に呼んで、直接世界のゾウ飼育状況、動物舎、エンリッチメント、飼育方法を聞くことになっております。実際にゾウを輸入し、巨額の予算を費やしてゾウ舎を建築するには、今後検討を重ねることが求められています。しかし、一番素晴らしいことは、まだ計画段階で、世界でトップレベルのゾウの専門家を呼び、その話を聞いて今後の計画に生かそうという試みで、このような試みは過去に例を見ません。
微力ではありますが、アラン・ルーフクロフト氏と共に、飼育員が安全にゾウを取扱い、ゾウにとっても楽しく、住みやすいゾウ舎ができるようにアドバイスしていきたいと考えております。

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