中里竜二さんのコレクションについて尾高伸子さんに書いていただきました

中里さんは、長年、カンガルーグッズを収集されていました。それがいつ頃から趣味となったのか、1990年から動物園で働きはじめた私にはわかりませんが、動物についての知識もなく、東京動物園協会が発行する雑誌にまつわる業務のアルバイトをしていた私でも、ベテラン飼育係の中里さんとお話しできるきっかけになったのは確かです。

今のようにインターネットで個人売買が普及する前は、企業のノベルティやキャラクター商品などにカンガルーが使われているのを見つけると、中里さんはキャンペーン終了後に譲ってもらえるように、お店の方や企業の広報担当部署などに直接連絡して交渉し、入手されていました。中里さんからの依頼で私がデザインを起こし、知り合いの眼鏡屋さんでカンガルーをあしらったフレームのオーダーメイドをしたこともあります。世界各国の置物やポストカード、店頭看板、自転車などなど、見つけたらコレクションに加えるのが当たり前かのように数を増やしていったのだと思います。そんな「戦利品」の写真や実物を、最近の成果として見せてもらいながら、中里さんが買って来てくれる高級ケーキを食べながら事務所のみんなでコーヒーを飲むのは楽しい時間でした。

冗談まじりに、それだけ集めてたら博物館ができるね、などと言っていたのが現実となり、2000年頃からは、ご自宅から数分の所にアパートの一室を収蔵庫として借りていました。

私設「カンガルー博物館」の誕生です。

もちろん一般公開しているわけではないのですが、見学を希望すると人数分のケーキとコーヒーで歓待してくれました。噂を聞きつけて、若手の飼育係や東京以外の動物園関係者も訪ねたこともあったそうです。
中里さんは動物に関する著書もあり、退職されてからも国内の動物園の勉強会などにも携わって後進の指導にも協力されていましたので、見学をきっかけに大先輩・中里さんのお人柄に触れたかったのだと思います。

中里さんが体調を崩されて管理が難しくなりそうになった2017年秋に、コレクションの数々は「埼玉県こども動物自然公園」に寄託されました。その総数は文献や細かい印刷物を除いても1500点以上はあるそうです。ご自身の終活として、愛着のある品々を散逸することなく引き取ってくれたのが、カンガルーをウォークスルー方式で展示し、有袋類の飼育展示でも国内有数の埼玉県こども動物自然公園で、中里さんも安堵され心から喜んでいらっしゃいました。

このカンガルーグッズの一部が6月2日(日)まで企画展の一環として公開されています。ぜひ多くの方に“カンガルー博物館館長”のコレクションを見ていただきたいと思います。

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