ゾウと巡る季節 ミャンマーの森に息づく巨獣と人びとの営み

著書・書籍

友人の大西信吾さんが写真集を出版されたので紹介します。

ゾウと巡る季節
-ミャンマーの森に息づく巨獣と人びとの営み-

写真と文=大西信吾、彩流社
2010年03月10月刊 本体3,800円
ISBN978-4-7791-1501-1

大西さんは、作家であり、写真家でもありますが、ベースは学者肌で、動植物共に種の同定まで正確に記載しないと気がすまない方なのです。それは下記に紹介した著者の他の本を一読くだされば納得されるでしょう。
彼は、近年使役ゾウを使って丸太を森林から引き出す方法が、やがては機械化に代わっていくのではないかと懸念をしています。しかし、「我々が本気で地球の生命を維持することに心血を注いでゆくのなら、自ずと森人を敬い、彼らから学ぼうという姿勢になっていくでしょう…」と彼らの生活ぶりを本書で紹介していますが、近代化が進む現代への痛烈な批判に感じます。

さて、ミャンマーの伝統的な使役ゾウには大きなメリットがあります。ゾウは日中の仕事が終わると森に放なされ、それぞれ気ままに餌を食べ、発情期には野生のオスゾウと交尾をして子どもを生むものもいます。
一度飼育した動物を野生復帰させることが容易でないのは、飼育下のトキやパンダで経験している失敗例をみればお判りでしょう。
ところが、ミャンマーの使役ゾウのように、半家畜、半野生状態で飼育する方法は、将来、容易に自然復帰へ移行できることを示唆しています。
それでも、ゾウにとっては、訓練当初のおよそ1ヶ月に渡るしつけは過酷なのかも知れませんが、1年も経てばすっかり象使いになついています。きつい訓練が終わった後には、毎朝体中をくまなく洗い、傷や病気を早期に発見、治療をしてあげるからです。そして、老齢で仕事ができなくなった後も象使いは一生面倒をみてあげるのです。

さて、本書では、雨季、涼季、暑季という季節に分け、著者にとってはF1レーサーや宇宙飛行士よりかっこよく写るという、ゾウと象使いの共存生活を現地にくらしながら、紹介した写真集です。象使いのすばらしい記録集としてぜひ貴方の本棚に収めてください。

この他に下記の本も出版されています。

「ミャンマー動物紀行 旅日記編」

「ミャンマー動物紀行 資料編」

「ジャングルの光」

以上新風舎

「ゾウと生きる森」
愛媛新聞メディアセンター

他があります。

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